第36章 気の向くままに/上杉謙信(謙信side)
「此処が愛香の部屋か……」
案内されたのは愛香の部屋
女の部屋の造りとはどのようになっているのか知らんが、この部屋は落ち着く。
「あのう……謙信様?」
「ん?」
「どうして安土に?」
どうして?
そんな簡単な事もわからないのか?
それとも俺の口から聞きたいのか?
「愛香は俺に逢いたくなかったのか?」
頬を指でなぞるとすぐに熱を持っていく
その素直な反応が俺の心を捉えて離さない
「いつも……逢いたいって思ってましたよ」
潤んだ瞳が、俺を欲しいと訴えているようで身体が熱くなってしまう。
「そんな顔をするな」
「え?」
「抱きしめてほしい__そう書いてあるぞ」
「っ……」
「来い……」
腕を広げて誘うと頬を染めながら俺に体重を預けてくる。愛香の香りが鼻先を擽る。
「ん……」
春の温かさのような微笑みが俺の心を包んでいくような気がする
「その顔だ……」
「え?」
「そのふぬけた笑顔が見たかった」
俺が愛香に求めてやまない笑顔
この笑顔のおかげで凍てついていた俺の心が溶かされた。
「そなた自身の身体で、もてなしてもらうぞ」
口付けを交わしながらゆっくりと愛香の身体に覆い被さっていく