第35章 気の向くままに/上杉謙信(夢主side)
信長様にもてなせと言われたんだけど
どうして良いのか分からなくて、とりあえず私の部屋へと案内をしてみた。
「此処が愛香の部屋か……」
物珍しいのかキョロキョロと部屋を見回す謙信様
「あのう……謙信様?」
「ん?」
「どうして安土に?」
「愛香は俺に逢いたくなかったのか?」
頬を指でなぞられてその場所がすぐに熱を帯びて、胸が甘酸っぱい。
「いつも……逢いたいって思ってましたよ」
広間での出来事なんて忘れてしまうくらいに謙信様への想いで胸がいっぱいになってくる。
「そんな顔をするな」
「え?」
「抱きしめてほしい__そう書いてあるぞ」
「っ……」
思っていた事を見事に言い当てられて、恥ずかしくて顔から火がでそう
それに2人っきりになってからの謙信様の視線というか雰囲気というか……
蕩けるように甘い
息をするのも辛いくらいにドキドキとしてしまう
「来い……」
ゆったりと広げられた腕の中に吸い込まれるように身を寄せる。
謙信様の腕の中にいるなんて夢みたい
嬉しくて自然と笑みがこぼれてしまう
「その顔だ……」
「え?」
「そのふぬけた笑顔が見たかった」
そう言って微笑む謙信様の顔は見たこともないくらいに優しくて__
いつまでも見ていたいと思っているのに、唇に甘い刺激を受けて瞳を閉じてしまう。
謙信様との口付けは甘くて、心も身体も痺れてくる。
離れたくなくて何度も何度も唇を重ねてしまう。
唇だけじゃ物足りない……
もっと触れ合いたい
離れていたのが長かったから、その時間を埋めるように抱き合いたい
もつれ合うように抱きしめ合う私たち
いつまでもこうして謙信様の腕の中にいて幸せを感じていたい