第35章 気の向くままに/上杉謙信(夢主side)
「突然、上杉謙信がやって来て愛香様を迎えに来たと言い始めた途端、政宗様が機嫌を損ねまして」
「さっきから刀を片手に睨み合ってるんだよ。
……邪魔だから何とかしてくれる?」
邪魔だから何とかしてって言われても……
謙信様も政宗さんも私の言うことなんて素直に聞いてくれる人たちじゃないんだけど
「男2人を惑わすとは魔性な女だな、愛香」
「笑っていないで2人を止めて下さいよ、光秀さん」
「断る__こんな面白い余興を止めるなぞ出来るわけあるまいて」
この状況を愉しんでいる光秀さんはあてにならないよね……
(まあ、そういう人だって知ってるけど)
でも、本当に止めないとどちらかが怪我をしちゃうよ
「お願いっ!! 2人ともやめて!!」
「すぐに独眼竜を斬り伏せて春日山城に愛香を迎えてやる」
「そう簡単に愛香を行かせるかよ」
ピンと張り詰められた空気が2人を包んでいく。
私なんか間に入り込む余地なんて何処にもない
どうしたら良いの?
「はいはい謙信様、駄目ですよ」
謙信様と政宗さんの間に割って入ってきたのは佐助くん。2人の刃先を指の間に挟んで立っていた。
(いつの間に来たんだろう?流石、忍者)