第34章 一夜の幻/顕如
愛香の身体を堪能するかのように唇は、耳や首筋、胸へとおりていく。
「ぁ……あぁ……」
吐息は顕如を求めて、溢れかえった蜜は顕如を誘っている
好いた女を抱く悦びに身体が震える顕如は、夢中になって身体の隅々までに唇を這わせ、時に歯をたてていく。
そのたびに愛香の身体は跳ね上がり、切なく啼いて顕如の背中に爪を立ててしまう。
「ンッ……おねがいっ……ぁ……んっ」
男根を握る手に力が込められ、自身の身体に擦り付けてくる。
「良いのか?」
「んっ……」
頷く愛香の頬は桜色に染まり、薄目を開け口元が緩む。
鼻の頭に口付けを落とすのと同時に蜜壷の中にゆっくりと侵入すると、頭から足の先まで一気に痺れが走っていく。
「くっ……」
堪えきれずに声が洩れてしまう顕如。
蜜壷は、男根を優しく包み込んでくれる。
御仏の教えを裏切り、復讐の鬼と化した顕如の過ちを赦し、洗い流してくれるようにも思えた。
「お嬢さんは菩薩様のようだな」
「私は……菩薩様じゃないですよ、愛香という1人の女です」
「ふっ……そうであったな__愛香」
それでも愛香を抱いていて心が穏やかになっていく顕如にとって愛香は、菩薩様そのもの
「これからの人生__私と一緒にいて下さいね」
優しく響く愛香の声を聴きながら、顕如は満ち足りた幸せに酔いしれていく