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イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第34章 一夜の幻/顕如


愛香が地下牢から出ていく音を耳にすると、微かに胸に寂しさを覚えてしまう自分に戸惑う。

地下牢に閉じ込められてから数日
久しぶりに会話らしい会話をした。

それが妙に心が温まる気がしてしまう。


「……鬼に徹する事が出来なかったせいか?」


己の中にある人間臭さに鼻で笑ってしまう。
人としての自分を捨て、鬼となり信長への復讐をすると決めていた顕如

それが1人の女性と出逢ってしまって大きく歯車が狂ってしまった。

愛香のせいではない。
すべては弱い自分のせい__

復讐鬼として人生を全うし、地獄に堕ちる覚悟をして信長へに復讐を誓った。

が、山賊に襲われていた愛香を助けたあの日から、顕如の中で何かが変わった


あの時__


山賊に絡まれている女を見かけた顕如
いつもは捨ておくのだが、見知った顔の女


信長の愛妾とされている愛香という女だな


山賊に捕まったら、身体を汚されどこかに売られてしまうのが運命

そうなったらあの魔王も人並みに哀しむのだろうか?

ふと、そんな考えがよぎるが



「助けてー! だれかぁー!!」


必死になって助けを求める愛香の声を聞いていると、無意識に助けてしまった。




「ありがとうございます。顕如さん」

「俺が誰だか知って礼を述べるのか?」

「はい、あなたは顕如さん……ですよね?」

「如何にも……」


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