第33章 露天風呂/明智光秀
出入り口までの最短距離は、やはり光秀さんが居る場所。そこを逃したら全裸を披露する事となる。
それだけは絶対に避けたい!
なんとか光秀さんをやり過ごして脱出したいんだけど……
それがなかなか難しい。
「光秀さん、こちらの湯のが熱めで気持ち良いですよ」
「熱めの湯は好かん」
「目を瞑って湯に浸かると幸せが訪れますよ」
「特に幸せを求めるつもりはない」
……駄目だ。
光秀さんはどうしてもあの場所から動く気もないし、目を閉じる気もないみたい。
というよりは私の状況を分かってわざとあの場所に居座るつもりだよね?
もうそろそろ限界だよ。
頭がくらくらしてくるし、正直
……吐きそう。
「くくっ……猿みたいな顔だな」
誰のせいでこうなってると思ってるの?
「光秀さん……もう……限界です……」
「お前が風呂から出ようが出まいが__俺の許可は必要あるまい?」
「そうですけど……」
「出たいならさっさと出るがよい」
「……ではせめて目を瞑って下さい」
「お前の貧相な体など興味もない」
興味がないなら目を瞑ってよ!!
と大声を上げたいのに……
無理。
「……愛香」
ちょいちょいと手招きをしてくる光秀さん
え?
近くに来いって言うの?
無理、無理ですって!!