第33章 露天風呂/明智光秀
「ふむ……なかなかの湯加減だな……
なあ、愛香」
「……そうですね」
ゆったりと湯につかる光秀さんと肩まで、ううん。
首まですっぽりと湯に浸かっている私。
その温度差は歴然としていて
熱い……
体が熱くて顔からダラダラと汗が吹き出している。
そろそろお風呂から出ないと確実にのぼせる。
「光秀さんっ! お願いが……」
「断る」
「まだ何も言ってないですよ」
「お前の言いたい事はわかる」
ちらりと視線を動かす先にあるのは__出口。
そう、光秀さんの前を通らないと出口にはいけない。
そして体を隠す為の手ぬぐいは
「キーッ!キーッ!!」
お猿さんが手に持って遊んでいる。
なんでこうなってしまったの?
ため息が自然と洩れてしまう。
お猿さんと混浴が出来る露天風呂があると聞いて、やってきたまでは良かった。
野生のお猿さんのわりに人懐っこくて、一緒に温泉を堪能していたんだけど、いたずら好きなお猿さんが私の手ぬぐいを奪ってしまい……
「まあ、1人だから大丈夫かな?」
なんて気楽に考えていたのに、突然光秀さんがお風呂に入ってきてしまい__
しかも!!
出入り口の近くでのんびりと湯に浸かってしまっているし。
体を隠す物がない私は……
出れないよね?