第30章 君は俺の薬/武田信玄(夢主side)
佐助くんに教えてもらった場所は、人里離れた古い民家。今は誰も住んでいないようで草木が生えている。
「信玄様……?愛香です」
戸口で声をかけるけど返事がない。
黙って入るのは気がひけたけど、信玄様の様子が気になってしょうがない私は、静かに中に入った。
いろりの傍に布団が敷いてあって、信玄様が眠っていた。
その顔からは生気を感じる事が出来ない。
生きてるの?
心配になった私は傍に座り注意深く様子を見ていると、規則正しく肩が上下に動いてる
良かった
呼吸はちゃんとしてる
「やあ、久しぶりだね」
「きゃっ!!」
強引に腕を引き寄せられて私の体は信玄様の上に……
「信玄様……?」
「君に逢えて嬉しいよ」
さっきまでは青白く生気を感じなかった顔が、今では少しだけ頬に赤みが戻ってきている。
それでもいつもの信玄様らしくはないような?
「……信玄様、具合が悪いって聞いたんですけど。大丈夫ですか?」
「うん?……大丈夫だよ」
「本当に?」
「ああ」
「うそ……ですよね?」
「困った子だね。俺の言葉を信用してくれないなんて」
困った__
そう言いながらも嬉しそうに微笑む信玄様に胸が、ドキッとしてしまう。
「しいて言えば……」
「?」
「ここが__苦しいかな?」
「っ……」
私の手を取り、はだけた胸板に直接触れさせられて……
目眩をおこしたみたいにクラクラッとしてしまう。