第27章 政宗VS照月/伊達政宗(政宗side)
あれから照月が姿を現さなくなって愛香が落ち込んでいるようにも見える。
少し元気のない愛香が心配で、俺は先に閨に行って休むように言った。
素直に俺の言葉に従った愛香は、軽く口付けを交わして部屋を出ていったが……
愛香が照月を可愛いがっているのは知っている。あいつにとって照月が特別な存在という事もだ。
安土に来た頃の愛香は、俺たちと上手くやれていなかった。
それはあいつが平成の世から来た人間で、育った環境も時代も違うからだ。
今の俺には信じられないくらいの平和な世
男たちは刀の代わりに「すまほ」とやらを持ち、毎日の暮らしを守っているそうだ。
国盗りの合戦もなく人々が、笑って平和に暮らせる時代があるとはな。
そんな夢のような平和な世から来た愛香が、血生臭いこの時代に馴染めないのも分かる気はするが……
そんな愛香の心を慰めたのが照月だった。
人慣れしない照月が愛香に懐いた理由はわからねーが、照月の存在が愛香を癒やしたのは事実だ。
まあ、それだけなら別に気にする問題じゃない。
問題なのは照月の方だ。
照月は自分が虎だという自覚がなく育っている。
母虎とはぐれた赤ん坊だった照月を拾って育てたのは俺だ。
まだガキなくせに愛香を独占しようとしていやがる(自分は人間だと勘違いしているのか?)
たとえ、照月であろうと俺から愛香を奪うのは赦さねぇよ
(俺って独占欲が強すぎるのか?)
「はぁー」
愛香に溺れ過ぎてる俺は、格好悪い気もするが……
そんな俺も案外、嫌いじゃねぇな。