第25章 俺の女である/織田信長
「貴様らの気持ちは分かった」
突然、口を開いた信長に皆からの視線が集まる。
一体なにが分かったのか?
「(ほう……これは面白そうな展開になりそうだな)」
事の成り行きを静観していた光秀の口元が、愉しげに緩む。
光秀には信長の行動が何となく分かるような気がしているのだ。
「愛香が誰の女なのか__
その両目で特と理解するが良い」
おもむろに立ち上がり、掛け軸を乱暴に捲り上げるとそこには天井からぶら下がっている1本の紐。
その紐を一気に引くと
「?!」
秀吉たちの目の前に竹で作った格子が降りてきたのである。
「信長様?! これは一体?!」
「この部屋には、幾つもの仕掛けが施されている。光秀から進言を受けてな」
「俺は聞いていないです!」
「貴様らにもっと面白い物を見せてやる」
秀吉の責める声を無視し、壁を押すと轟音とともに天井から部屋が降りてきた。
大仕掛けな造りに一同は唖然としているなか、降りてきた部屋の中央には幸せそうな笑みを浮かべて眠っている愛香。
明け方近くまで信長に激しく愛された愛香は、まだ夢の中。
「(天井から部屋が降りてくるとは面白い。
それにしても寝姿の愛香にはそそられるな)」
獲物を狙うかのように妖しく政宗の瞳が、ぎらつく。