第23章 でざーとを先にいただきます/石田三成(三成side)
一体誰が私の口に食べ物を?
考えなくてもすぐに分かりました。
やはりあなただったんですね。
「すみません、愛香様」
「え?」
「書簡を読むのに夢中になってお相手もせずに失礼しました」
「お仕事中だから気にしなくてもいいよ。
でも……」
「はい?」
「ちゃんと食事だけでもとって……ね?」
私の体の事を心配してくれているんですね。
遠慮がちに食事を取るようにお願いしてくるなんて、本当に可愛いらしい方です。
あなたに心配をかけたくはありません。
「はい、1日1回は食べるようにしますね」
まるで幼子を見るような慈愛に満ちた笑顔の愛香様が眩しくて目を細めてしまいますよ。
本当にお優しい方だ。
きっとこの料理も__
「この食事は愛香様が?」
「あ、うん。私が作ったんだけど……美味しくない……かな?」
「いいえ。優しい味付けでホッとします。愛香様の人柄が現れている料理ですよね」
私のために愛香様が料理を作ってくれた事が嬉しくて自然に笑みがこぼれてしまいます。
この気持ちをあなたに伝えたい__
「こんなにも美味しい料理はゆっくりと味わって食べないと勿体ないですのですが……」
「ですが?」
「先にでざーとを頂いてもよろしいでしょうか?」