第23章 でざーとを先にいただきます/石田三成(三成side)
毎日、山のように届けられる書簡。
その書簡全てに目を通し、把握するのが私の仕事。
全ては主君秀吉様の御為。
秀吉様の為ならばいくらでも働く覚悟はあります。
でも最近は……
自分の時間が欲しいと思ってしまうことも
比べる事自体が失礼なような気もするのですが、秀吉様と同じくらいに愛香様も私にとっては大切な方です。
仕事が忙しいからといって愛香様をないがしろにしているつもりはないのですが、それでもやはり仕事を優先しているのでしょうか。
愛香様に逢いたい
早く仕事を片づけて愛香様との時間を取りましょう。
そうと決まったら一刻も早くこの書簡の山を整理しなければ__
一心不乱になって書簡に目を通していると
「ん?」
何やら美味しそうな匂い。
それに唇に柔らかい物が押し当てられて
口の中に含み、咀嚼をすると
甘くて美味しい__
そういえばいつ食事をとったのか……
匂いに釣られてお腹が減っている事に気付くとは
我ながら自己管理が出来ていないとは反省はするんですが……
優先すべきは私の空腹を満たす事ではない。
そう考えているものの、次々と口に運ばれてくる物を咀嚼して飲み込んでしまいます。