第3章 嫉妬/織田信長(夢主side)
「随分と遅かったな」
久しぶりに会った信長様の開口一番の言葉。
冷たい響きが、私の胸にずきっと刺さってくる
それでも、久しぶりに信長様の顔を見れて
頬が緩んでしまう。
「近くに来い」
「はいっ!!」
待ちわびた言葉をかけてもらい、至近距離で座る。
手を伸ばせば触れる事の出来る距離に
胸の高鳴りがおさまらない。
信長様はというと……
悔しいくらいにいつもと同じ平常心らしく
顔色1つかえてない。
私ばっかりが信長様を好きみたいでちょっとだけ悲しくなっちゃうよ。
「これの着方を知っているか?」
「これは……」
私の膝の上に置かれたのは
この時代の西洋のドレス
初めて本物に触れる事が出来るなんて……
興奮を抑えられない私は、ドレスを手に取り
デザインや使っている生地をマジマジと見てしまう。
「丁寧な縫製……あ、ここはこうやって……」
ドレスに夢中になってしまったせいで
信長様の声を聞き逃してしまっていた。
「愛香」
「っ……」
不意に耳元で囁くように名前を呼ばれ、肩が跳ね上がってしまった。
「俺がいるというのにドレスとやらに夢中になるとはな」
冷ややかな笑みを浮かべる信長様
初めて会った時は、この笑みが苦手だったけど……今は違う。
この笑みは慈しみを含んでいるのを私は、知っているから。