第20章 ワインのお味は?/真田幸村(幸村side)
「ハァー……ったく」
俺のへんな男気のせいで愛香が悲しんでいる。
女を泣かせる男は最低なヤツだよな。
「泣くな」
「泣いてなんか……っ」
「泣いてるじゃねーかよ」
顎を持ち上げて愛香の顔を見詰めると涙目じゃねーかよ。
やっぱりな……
「お前に泣かれると……困る」
「え?」
「正直、どうしていいのかわからなくなる」
これ以上泣かれたくなくて__
慰めの言葉なんて簡単にでる俺じゃない。
(信玄様並みに言葉がすらすらと出れば良いんだろうけど、無理)
だから、俺は態度で示す。
もう怒ってないことを伝えるために
いつもより優しい口付けで__
「んっ……」
微かに洩れる吐息に頭がクラクラしてくるぜ
愛香の頬を包み込みおでこを合わせる。
鼻が軽く触れる。
その感触が凄く新鮮に感じる
なあ、愛香
お前が笑ってくれるなら
俺のくだらない男気なんか捨ててもいい。
だから、笑ってくれよ。
「わいんとやらを呑もうぜ」
「え? でも……」
「愛香は俺と吞みたいんだろう?」
「うん……」
「じゃあ、呑もうぜ」
涙を堪えて微笑む愛香が眩しい。
(本人には言えないけどな)