第19章 ワインのお味は?/真田幸村(夢主side)
盃にワインを注ぐとワイン独特な香りが広がっていく。
ワインの知識は持っていないけど、このワインがかなり上物である事が私でもわかる。
「へー……これが南蛮からの酒ねぇ……」
盃を持ち、香りを嗅いだり色を確かめている幸村の眉間にしわが寄っている。
「んじゃあ吞んでみっか」
意を決したような表情を浮かべて一気にワインを吞み干すと__
ウソでしょう?
信じられないんだけど……
私の目に映っている幸村の姿が信じられなくて、何度もまばたきを繰り返してしまう。
「んー……愛香……」
気怠い声で私の名前を呼び、膝の上には幸村の頭が乗っかっている。
「……幸村?」
「おー……」
顔は真っ赤だし焦点は合ってないし
もしかして?
「酔ってる?」
「あー……? おれが酔うわけ……ねーだろ」
酔ってるよね?
その気怠そうな喋り方
酔っているよね?!
私の記憶が間違っていなかったら幸村は相当お酒には強いはず。
それがたった1杯のワインで酔うなんて信じられないよ。
「愛香ー……」
でも、私の膝に顔を埋めて甘えてくる幸村は……
酔っているとしか思えない。
正気だったらこんな風に甘えてなんかこないもの。