第19章 ワインのお味は?/真田幸村(夢主side)
「これはねワインだよ。幸村はワインを吞んだ事ある?」
「いや、ないけど」
「じゃあ、一緒に呑もう」
「んー……」
目を瞑り、腕組みをして考え始めている。
そんなに考え込む事なの?
「お前さ」
「うん?」
「ソレ、どーしたんだよ?」
「……貰ったんだけど」
「……誰からだよ」
信長様から頂いたって言ったら怒るかな?
顕如討伐のために一時的に休戦をして、協力しあったといっても敵同士。
「信長から貰った物なら口にしたくねーよ」
と拒否の言葉。
やっぱり……
そういうと思った。
「そっか……そうだよね」
分かってはいたけどはっきりと言われてしまい、涙がでそうになってしまう。
ただ、私は幸村と一緒にワインを呑むという時間を共有したかっただけなんだけど__
「……ごめんね。幸村の気持ちも考えずに」
涙が落ちてしまう前に幸村から離れよう
そう思った私は、立ち上がったんだけど
腕を引っ張っられて動けなくなってしまった。
「ハァー……ったく」
ため息の声とともに私の頭の上に置かれた温かい手。
「泣くな」
「泣いてなんか……っ」
「泣いてるじゃねーかよ」
顎を持ち上げられて、幸村の瞳を見た途端に涙がポロリとこぼれ落ちた。
「お前に泣かれると……困る」
「え?」
「正直、どうしていいのかわからなくなる」
困ったような顔をしているけど、優しく笑ってくれている。
「……ごめっ……ンッ」
謝ろうとした口が塞がれてしまう。
啄むような優しい口付けに胸が熱くなってしまう。
私の頬を大きな手のひらが包んで、おでこを合わせてくる幸村。
「わいんとやらを呑もうぜ」
「え? でも……」
「愛香は俺と吞みたいんだろう?」
「うん……」
「じゃあ、呑もうぜ」
幸村の優しさが嬉しくて目頭が熱くなる。
「ありがとう」