第19章 ワインのお味は?/真田幸村(夢主side)
「幸村? いる?」
幸村が間借りをしている庵を訪ねてみると
__いない。
何処かに出かけてしまったんだろうか?
幸村が帰ってくるまで待っててもいいかな?
「ん? 愛香?」
「幸村!」
「わりー……ちょっと野暮用で出掛けていた」
「ごめんね、急に訪ねてきたりして」
「なんか用事でもあるのか?」
久しぶりに会う幸村の素っ気ない言葉に胸がチクリと痛む。
でも、すぐに気付いて頬が緩んでしまう。
(幸村ったら耳がほんのりと紅い)
最近になって気付いたんだけど、幸村って嬉しかったり照れたりすると耳が紅く染まるんだよね。
「なに笑ってるんだよ」
「ふふっ……なんでもないよ」
「変なヤツだな」
自分の気持ちを素直に口に出来ない幸村だけど、ちゃんと体は素直に反応してくれている。
それが私には嬉しい。
「なあ……その大事そうに抱えてるのはなんだ?」
「あ!! 大事な事を忘れてたよ」
此処に来た当初の目的を忘れるところだったよ。
幸村と向かい合わせに座ると、風呂敷をほどき
「じゃあーん!!」
「なんだ?」
私の手にはビン。
中身が何か分からない幸村は興味津々でビンを見つめている。子供のように澄んでいる瞳がキラキラと輝いていてなんだか可愛い。