第15章 奥州の大トラ/伊達政宗(政宗side)
流し込んですぐに胃がジリジリと熱くなり、頭がぼやけて視界が歪む。
ん?
愛香がいる
酒盛りの場にいないと思っていた愛香の姿が見えて、腕を掴み抱き寄せる
「……何してるんですか?」
「? 愛香、風邪でも引いたのか?
声が野太いぞ」
「はぁー……何言ってるんですか? 俺は愛香じゃない」
「何をボソボソと喋ってるんだよ。家康みたいな喋り方をして」
「……家康みたいじゃなくて、俺は家康ですよ」
「ふっ……面白くない冗談だな」
「……冗談なんかじゃないし」
拗ねて上目遣いで睨んでくるとは可愛いじゃねーか
「可愛いな」
口付けをしようと顔を近づけると、顔を真っ赤にして俺の顔を阻止しようとするなんて
まったく、素直じゃないな
「ちょっ! やめてくださいよっ!
俺は愛香じゃないんだから」
「なんだ?政宗の奴、酔っぱらってるのか?」
「……見てないで助けて下さいよ、秀吉さん」
「ほう……愛香と家康を間違うとはな」
「光秀さんのせいでしょ? 責任を取って下さい」
「断る。すぐに酔いつぶれない政宗を見るのは面白い」
「……俺は迷惑しかないです」
何やら話し声が聞こえてくるが、眠くてしょうがない。瞼がやたらと重たいな
「ちょっ! 俺に抱きついたまま寝ないで下さい」
「……ねむ……い」
「部屋で寝て下さいよ」
「一緒に寝るか?」
「それは本物と一緒に寝て下さい」
ん?
本物?
何を言ってるんだ?