第14章 奥州の大トラ/伊達政宗(夢主side)
「愛香~」
ご機嫌な政宗は私によりかかるように抱きついてリップ音をたて、顔中にキスを落としまくってくる。
「政宗っ……やめてよっ」
「ん?__もっと激しくしてもらいたいのか?」
酔っているせいか、いつもの数倍色香を放つ政宗に心臓がドキドキとしちゃう。
私と政宗のやり取りを見ていた家康さんは、深いため息を吐くと「……じゃあね」と一言残すと部屋を出ていった。
「本当にすみませんでした」
家康さんの背中に声を掛けると立ち止まって
「……頑張って」
含み笑いを残して行ってしまった。
ん?
頑張って?
何を?
家康さんの言葉の意味が分からなくて一瞬、悩むけど耳元で私の名前を何度も呼ぶ政宗に意識が戻ってしまう。
「ほらっ……早く布団に行こ?」
「ん? もう寝るのか?」
顔をくしゃくしゃにして笑う政宗がとても可愛い。
いつもの格好いい政宗も好きだけど、子供のように笑う政宗も好き。
なんだか母性本能がくすぐられちゃう。
「ちゃんと歩いて……」
「ん?……あ、ああ……」
千鳥足の政宗を抱えても何とか布団の所まで連れて行く。
結構、たいへん
「あと……もうちょっとで……?!」
布団まであと数歩の所で足がもつれてしまい、そのまま布団へとなだれ込んでしまった。
酔っていても流石は政宗。
ちゃんと受け身を取り、なおかつ私まで庇ってくれた。
(政宗の上に乗っかてしまったけど)
そのまま、私の体を抱きしめて
「本当に抱き心地が良いよな」
吐息混じりの政宗の声が耳に甘く響いてきて
心臓が踊りだす。