第14章 奥州の大トラ/伊達政宗(夢主side)
「愛香-!! 今、帰ったぞー!!
おーいっ! 愛香-!!」
「政宗っ?!」
夜も遅い時間に大きな声で私の名前を叫んでるなんて
政宗らしくない
そう思いながら障子を開けると……
家康さんに抱えられるようにして立っている政宗
「良い子にしてたかあ?」
「ちょっ……」
おでこに口付けをしてくるんだけど……
お酒臭い……
どうして?
家康さんに視線を移すと苦虫を潰したように眉間にしわを寄せている。
「家康さん……これは?」
「光秀さんの挑発にのって『わいん』を一気吞みした」
一気にワインを吞んだ?!
「どうでもいいけど……俺から離れてほしいんだけど」
「ん~? なぁんだ、家康。俺の傍にいたいって言ってたろ?」
「言ってないし、迷惑だから」
「冷たいヤツだなぁ~」
「ちょっ……! やめて下さいっ」
政宗ったら
いくら酔っているとはいえ家康さんの頭にキスを落とすなんて__
「……早くこのトラをどうにかしてよ」
不機嫌全開の家康さんは、私を睨んできて
「すみません……」
家康さんに申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら
政宗を支える。
「ほらっ、しっかりして?」
「俺は正気だぞ」
いつもより高いテンションでそんな事を言われても説得力に欠けるよ