第13章 堕ちていく恋心/明智光秀◇(光秀side)其の2
物陰に隠れて愛香を見ていると案の定、秀吉がやってきた。
あいつが愛する姫君と星を見るために星空の様子をみにくると思っていたが……
やはり来るとはな。
だから、愛香と鉢合わせさせるように仕向けたのだからな(秀吉ほど単純で行動が読みやすい男は、そうそういるまい)
思わぬ所で秀吉に会えた愛香の喜びが手に取るように分かる。
しかし、すぐにそわそわとしはじめる。
俺に抱かれた直後だから?
素直に秀吉と会えた事を喜べないのか
口数の少ない愛香を気遣う秀吉から愛香が一番口にしてほしくない言葉が発せられた。
「光秀と……仲良くやっているのか?」
秀吉は、愛香の想いに気付いてはいない。
その一言が愛香を傷つけているとはわからないだろう。
愛香は、肯定も否定もしない。
いや、出来ないのだ。
だから俺が答えてやる
「仲良くやっているに決まっているだろう。秀吉が心配する事じゃない」
「光秀っ……」
突然現れた俺に動揺を隠しきれない愛香を見るのは面白い。
「そうなのか? 最近、愛香の元気がないから心配はしていたんだが」
「毎夜、激しく愛しすぎたか?」
愛香の肩を抱き寄せ微笑んで見せると俯き、地面を見つめる。
愛香の肩が震えているのが俺の手を通して伝わってくる。
震えている愛香を心底、愛おしいと思う。