第13章 堕ちていく恋心/明智光秀◇(光秀side)其の2
「愛香……今宵は、空から星が降ってくるそうだな」
「流星群ですね。沢山の星が降ってきますよ」
「では、星を観るか?」
「光秀と?」
「たまにはいいだろう?」
「そうだね……」
嬉しそうに微笑む愛香
その笑顔を奈落の底に落とそうとしている俺は、悪い男か?
否、違うな。
これは愛香を手に入れるための手段の1つにすぎない。
欲しいモノは、必ず手に入れる。
その為には策略も1つの手段であろう。
単純な人間ならば言葉で思いを伝えるであろうが、俺は決してしない。
言葉ではいくらでも嘘、偽りをつける。
そんな単純な上に出来た愛など誠の愛ではないだろ?
誠の愛を言葉だけでは得られるとは思ってはいない。
そんな簡単に手に入るものではあるまい。
まして、他に好いた男が心の中にいるならば尚更だ。
俺は俺のやり方で愛香の躰も心も手に入れてやる。
「では、先に行っていろ。
俺は酒を用意してくる」
「お酒の用意なら私が……」
「お前は先に東屋に行ってろ」
お前1人で東屋に行く事に意味があるのだからな。
絶望の底に落ちる前に、少しの幸せをお前に与えてやろう。
疑う事なく部屋を出ていく愛香の後ろ姿を見送りながら、これからおきるであろう出来事を想像するだけで胸の高鳴りを抑える事が出来ない