第13章 堕ちていく恋心/明智光秀◇(光秀side)其の2
「あんまり無茶をさせるなよ」
「仕方あるまい……愛香が可愛くてしかたがないのだからな」
「女には興味がないって言っていたお前がねぇ」
俺たちの会話を聞いている愛香の躰が強張るのがわかる。
この場から逃げだしたい心境だろうな。
秀吉にははっきりと知られたくあるまい?
俺に愛されてるなど……
わかっている、お前の気持ちなぞ。
だから、だ。
だから敢えて秀吉に教えてやっているのだ。
俺とお前が愛しあっていると……
ふと秀吉の後ろに視線を移すと薄明かりが見えてきた。
どうやら役者が揃ったようだな。
仕上げをするか__
「いつまで待たせるつもりなの?」
秀吉の愛する姫君のご登場だ。
仲むつまじく会話をしている2人を目の当たりにしている愛香。
冷静でいられるわけはないだろうな
しわが寄るほどに俺の着物を握りしめる指が震えているぞ。
この場から連れ出してほしいんだろ?
口にせずとも分かる。
俺がお前を救ってやる。
いや、俺しか愛香を救える男はいないだろ?
秀吉たちに見せつけるように愛香を抱き上げる。
2人の視線が気になるのか、俺の胸に顔を埋めてくるとは__
なんとも可愛らしい反応だな
ちゃんと可愛がってやるからな
俺のやり方で__