第10章 あくまで反対だからね
既に日が落ち、暗くなった道を私と修ちゃんは何も話すことなく歩いていた。
私から話を切り出していいのかどうか迷っていると、ゆっくり修ちゃんは話し出した。
「俺、主将を赤司に譲ろうと思う」
なんとなく予想していたが、まさか本当にそんなことを言うとも思っていなかった私は、思わず立ち止まり修ちゃんを見た。
「何つー顔してんだ」
「だって…」
修ちゃんは、はぁ、とため息を一つして私の正面に立つ。
「お前ら二年が入ってきた時からこんな日が来るのはわかってたこった」
「でもそれとこれとは話がちがっ」
「聞け」
私の話を遮って修ちゃんは言う。
「親父のことがなけりゃ、俺もこのまま主将を続けた。だが、今の俺は親父に何かあればこの間みたいに部活、最悪の場合は試合を放り出しても行く。そんなことねーのが一番いいことはわかっちゃいるが、ないとは言い切れねぇ」
「……」