第10章 あくまで反対だからね
その日の練習終了後、集合していた部員の前でコーチが言った。
「黒子テツヤ。次の試合から正式にベンチしてもらう。背番号は15。六人目としての働きに期待する」
テツ君は驚いた表情をしたまま固まっていた。
「あとで桃井にユニフォームのサイズを伝えておけ」
それを聞いた隣のさっちゃんを見ると、テツ君以上に驚いた表情をしていた。
大ちゃんは自分のことのように喜んでいて、周りの皆も、彼の実力を認めているかのように受け入れていた。
「それともう一つ」
わいわい騒ぎ始めた中、コーチが静かに続けた。
「今までスタメンは現二・三年をローテーションで使ってきたが、今後は赤司達現二年生を中心に使っていく。以上だ、解散!」
え…?今なんて…。
修ちゃんに目をやると、久保田先輩と何やら話していることが分かった。何かを決意したような表情を見せていた。
そして修ちゃんは私の視線に気づくと、そのままこちらに向かってやってくる。
またいつものように「心配すんな」「大丈夫だ」なんて言いながらお決まりのデコピンが来ると思っていたのだが、今回は違った。
「華澄、今日一緒に帰るぞ」
「…え?」
「話がある」
偶にしかみない真剣な顔で言われ、私は頷くしかなかった。