第10章 あくまで反対だからね

さらに私たちが新入生がいないにも関わらず忙しいのにはもう一つ理由がある。


「やっぱり情報収集だけでも難しいのにその分析となると大変だね。カスミンはそれに加えて身体管理までやってるし、尊敬するよ」

「そんなことないって。さっちゃんは私よりこういうの向いてると思うわ」

「そうかなー」


伯父さんが倒れてから私は気が気じゃなく、正直部活どころではなかった。

しかし、修ちゃんから伯父さんのことは口止めされているのもあって相談できる人なんていなかった。

だが、やはり少しでも仕事の負担を減らしたいのは本音で、征十郎に言ってみたところ、身体管理は私ほどできなくとも、情報収集であれば私以上にさっちゃんができるのではないか。と提案され、今は練習の合間などを使って教えているのだ。


「でも」


さっちゃんは続けた。


「いくら情報収集とか分析とかやってもやっぱりわからないよ」


そう言った彼女の視線の先にはテツ君。


「彼の凄さは見る人が見ればわかるわよ」

「本当かなぁ？」


さっちゃんの疑いはいまだ晴れない。


「あ、洗濯しに行かなきゃ！」


さっちゃんがハッと思い出したように言って、私とさっちゃんは体育館を出た。