第3章 マネージャー志望
「…そうだけど」
「良かった!私もマネージャー志望なんだ。私、桃井さつきっていうの」
「藍川華澄」
「カスミンだね、よろしく!」
「うん、よろしく」
にしても、この子スタイルいいな。
私も痩せ型な方だとは思うけど、この子はそれに加えて胸が大きい。本当に同じ中一かと思うほどの完成度だわ。
それから、さっちゃんとはすぐに打ち解けて、仲良くなった。
「さつき、帰ろうぜ」
体育館の入り口付近で話していると、色黒な背の高い男の子がやってきた。
「大ちゃん、もういいの?」
「今日は体慣らしだけだからな。お、もう友達できたのかよ」
「うん。同じマネージャー志望で、カスミンっていうの。カスミン、こいつ私の幼馴染の大ちゃん」
大ちゃん、と紹介された彼と目があい、どうも、と会釈だけした。
できればあだ名ではなくフルネームで紹介して欲しかったんだけど、仕方ないか、と小さく息をついた。
「カスミン?か?俺は青峰大輝だ。よろしくな」
「私は藍川華澄。華澄でいいわ、私も大ちゃんって呼ぶから」
「華澄ーっ」
簡単な自己紹介をしていると、休憩に入ったらしい修ちゃんが私のもとへ来た。
「お前まだ見学すんのか。あんま遅くならねー内に帰れよ」
「うるさいわね。今帰るわよ」
というより、遅くなったら修ちゃんが送ってくれてもいいじゃない。
「言っとくけど、お前ん家反対方向だから遅くなっても送ってやんねーからな」
「本当、優しくないのね」
昔から優しくない上に口うるさい、凶悪顔の従兄からフンッと顔を背ける。
全く、怪我するたびに手当してあげたのは誰だと思っているのかしら。
「カスミン、この人先輩だよ」
先輩に対してタメ口をきく私に心配そうにさっちゃんが言う。
「…修ちゃんは私の従兄なのよ」
「えぇ?!まじかよ!!」
意外にも反応したのは大ちゃんだった。