第3章 マネージャー志望
「だってこの人、虹村さんだろ?スゲーな、おい」
「大ちゃん知ってるの?」
さっちゃんが大ちゃんに問いかける。
「知ってんに決まってんだろ。この人スゲー上手いだぜ」
「修ちゃん、そうなの?」
「もういいからお前は早く帰れよ」
シッシッと手で私を追い払うようにしてそう修ちゃんが言ったと同時に、休憩終了を告げるブザーが鳴り、修ちゃんはコートの中に戻って行ってしまった。
もう、相変わらずなんだから。
「さてと。修ちゃんにも言われたし、私帰るね」
「うん。私たちも帰ろっか」
さっちゃんと大ちゃんに別れを告げて私は校門に向かった。校門にはさっき振りに見る姿と初めて見る姿があった。
「やあ、華澄。見学はもう終わったのかい?」
校門にいる二つの人影の一つはさっき振りに見る征十郎。
「うん。修ちゃんにも今日は早く帰れって言われたから」
「そうか、では家まで送るよ」
「いいわよ。まだ明るいし」
「そういうわけにはいかないさ」
送る、といわれてもまだ、夕方前だ。日が落ちる前には確実に家に着く。が、いくら断っても一向に引かない征十郎に負けてしまい、私は結局送ってもらうこととなった。
「彼は?」
征十郎の隣に立つ背の高い眼鏡の男の子。真面目そうな雰囲気なのに、何故か電話帳をもっていて、正直真面目なのか馬鹿なのかわからない。
「緑間だよ。隣のクラスで、彼もバスケ部志望なんだ」
「へぇ」
おそらく体慣らしに行った三軍の体育館で知り合ったのだろう。ということは、大ちゃんも先ほどまで三軍の体育館にいたようなので、この二人とは既に知り合っていたのかもしれない。