第10章 あくまで反対だからね
私が帝光中学校に入学してから一年が経った。
あれから伯父さんの容体は悪化していないが、良くもなっていない。一瞬たりとも油断できる状態ではなかった。
「んー。見えないわ…」
今日から新学期となり、今日は珍しく朝練もなかったので、ゆっくり登校し新しいクラスを確認しようと掲示板を見に行こうとすると、そこには既に人だかりができていた。
勿論、身長がこの一年で1ミリも伸びていない私がこの人だかりの後ろから見て見えるわけがない。
ジャンプすれば見えるのかもしれないが、それも一瞬であるわけで、さらにそんなこと”高嶺の華”なんぞ言われている私のキャラではない。
「おはよう、華澄。何をしているんだ?」
「あ、征十郎。おはよう」
彼もまたゆっくり登校し今の着いただろうか、征十郎がそこには立っていた。
征十郎はどうにか掲示板が見えないか、と試行錯誤する私を訝しげに見た。