第8章 誰の顔も浮かんでこないわ
そして、練習開始から一時間後。
いつもより少し早めに朝練は終了した。
「集合!!…って、オイ!どこ行くんだ!!」
「「……?」」
いつもなら練習後はコーチの元へ集合し、コーチがいない場合はコートの中央で修ちゃんが締めて終わる。
そのはずなのに、今日は修ちゃんの声がかかると同時に、片づけを始めた私とさっちゃんの後ろに足音が響く。
振り向けば、修ちゃんと征十郎とテツ君をコートの真ん中に残し、ほかは全員私たちの後ろに整列していた。
「「「よろしくお願いしますっっ!!」」」
そう言いながら全員手を私たちの方へ差し出している。