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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第8章 誰の顔も浮かんでこないわ



「だっていつもお世話になってる皆にはちゃんとしたものあげたいんだもん」

「さつきの手作りはちゃんとしたモンのうちにははいらねーよ」


朝から言い合いをする二人を目の前に私と征十郎、あと多分テツ君も固まっていたはずだ。

そして、私たち三人はアイコンタクトをし、そーっとその場から離れ、体育館に行こうとする。


「あ、赤司君、カスミン。待って。これ私から」


バレてしまった。

差し出されたものをまじまじを見る。不透明な袋でラッピングされたそれは中身は見えないが、まがまがしい雰囲気を醸し出している。


「…ありがとう、桃井」

「うん。あ、ありがと…。私もこれどうぞ。…テ、テツ君にはあげないの?」

「え?」


渡されたものは受け取らないと失礼だし、これは味とかじゃなくて気持ちが大事なの気持ち!と自分に言い聞かせ、差し出されたものを受け取り、私も彼女に至って普通のそれを渡す。

そして、おそらく存在に気づいていないであろう彼にも渡すように促す。


「きゃあっ!?く、黒子君いたの?」

「最初からいました」


そんなことだろうとは思った。

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