• テキストサイズ

青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第7章 そういうことだったのね



…なんて予想外すぎるの。

私は目の前で起こった出来事にいまだ目を疑っていた。


「足引っ張るどころか、いきなりパンツ脱がされたキブン!」

「なんなのだ、あいつは…。恥なのだよ」


ギャラリーからの中傷にあっくんと真ちゃんは怒ったように言った。でも、流石に今回は私もフォローは出来ない。

大ちゃんと征十郎ですら複雑な表情でベンチに戻っていくテツ君の姿を見ていた。


「…仕方がない。頼むぞ、虹村」

「はい」

「藍川、悪いが黒子を見てやってくれ」

「はい」


コーチが小さく息をつきながら修ちゃんと私に言った。


『帝光、選手交代です』


「うおっ…出たぞ。帝光主将、虹村修造。中学№1の呼び名も高いPFだ…!」


修ちゃんは全国でも有名らしく、ギャラリーから一気に歓声が上がる。


「テツ君、大丈夫?」

「はい、すみません。鼻血だけなので藍川さんはスコアに集中してもらって大丈夫です」

「そ、そう…」


とりあえず他に怪我などはしていないようだったので、私はテツ君に箱ごとティッシュとゴミ袋を渡して、コートに目を戻した。

コートでは修ちゃんが一気にDFを抜き、さらにヘルプまでかわして、真ちゃんにアシストを出した。そしてそのまま真ちゃんがシュートを放ち、ボールはゴールに吸い込まれる。


「っしゃあ」

「バカモン。制限を忘れたのか。お前は今日はもっとセーブして戦え!」


すぐに熱くなりがちな修ちゃんをコーチが怒った。


「あいつは昔からああなのか」

「はい。昔からああです」


はぁ、とため息をつきながら隣でコーチが私に尋ねてきた。修ちゃんは今も昔もほとんど変わらない。強いて言えば、少し丸くなった方だ。

それから試合は帝光がリードしたまま順調に進んでいったが、時間が経つにつれて皆の息も徐々に上がっていった。

こればかりは、まだ成長途中の彼らにとっては仕方がない。

/ 458ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp