第6章 本当に彼でいいの?
…あぁ、本当に最悪。
きっと今日のおは朝占いは最下位だったに違いない。
「まあ、こいつそういうの興味なさそうだし、顔は良くてもあの運動神経じゃ、なあ?」
「うるさいわね」
「あー、確かに。藍ちんが走ってるとこ初めて見たときは驚いた」
「俺もなのだよ。はじめはわざとかと思っていたのだよ」
くぅ、皆好き勝手言ってくれるわね。
明日ドリンクに毒物が混ざってても知らないんだから。
「もう、修ちゃん!早く帰るわよ!」
「そんなに拗ねんなよ」
「拗ねてない!」
私の頭をわしゃわしゃとなでる修ちゃんの手を払いのけ、そして、私よりも30センチ近く大きい従兄と並んで歩き始めた。
そんな私たちを皆見ていたのだろう、背中は視線で痛かった。
「で?何話してたの」
校門を出てすぐに話を振った。
声をかけてすぐ出てきたということは、着替えはとおの昔に終わっていたということだ。ともなれば、何か部室で話し込んでいたのだろう。
大方、今日話し込むということは、彼、テツ君についてしかないと思うが。
「相変わらずその辺りの察しはいいよな」
余計なお世話よ、と言いたくなるが、それでは話が進まなくなるのは目に見えているので、ぐっ、と言葉を飲み込んだ。
「来週の交流戦の話だ」
修ちゃん曰く、ここらの地区でこの時期に毎年行われている非公式の大会らしい。
「それってコーチが言ってた、一年のみの制限付きの試合?」
「それだ」
一軍の一年生は今のところ、征十郎たち五人と…
「テツ君?彼もでるの?」
「ったりめーだろ。あいつの力は実戦で認めてもらうしかねぇ」
確かに。
私はテストを覗いたから知ってるけど、ほかは修ちゃんと征十郎以外は知らないのよね。
その上、今日のあの様子じゃ誰も彼の力を信じたりはしないだろう。テストを見ていた私ですら不安を覚えたのだから。
「ただし」
修ちゃんは続けた。
「使えなけりゃ、黒子テツヤ、あいつは即降格だ」