第27章 逃げない
体育館の中では『キセキの世代』の彼らが、何やら話しているらしい。
「カスミンは…アメリカだっけ?」
「…ええ、修ちゃんのとこへ行くわ。さっちゃんは結局大ちゃんと同じところだったかしら?」
「うん…やっぱ、ほっとけないし」
本当ならば、テツ君と同じ高校へ行きたかったんだろう。
それでも、あの幼馴染の大ちゃんのことが心配で、さっちゃんは自分の気持ちを押し殺して、高校を選んだ。
…私がしっかりしていれば。
さっちゃんに苦しい選択をさせることになんてならなかったのに…。
「…っ、ごめん…ね…っ…ごめ…っさっちゃ…ん。私の…せい…よ、ね…っ」
あまりの申し訳なさに、先程止めたばかりの涙が再び零れ落ちる。
「カスミン…」
「ごめ…っ、泣くのは…今日で、最後にする…か、ら…っ」
「…ううん、誰のせいでもないよ。カスミンのせいじゃない…。仕方なかったんだよ…」
さっちゃんは泣きじゃくる私を抱き寄せて、優しく背中をさすってくれた。
ごめんなさい…皆…。
―― これが、私のあやまちの青春物語。