第27章 逃げない
私に背を向けて去ってゆく彼に私は叫んだ。
「…ごめんなさいっ…許してもらえるなんて思っていないわ…でも、あなたにどうしても謝っておきたかったの…っ…私…、私ももう逃げないから…っ」
テツ君は振り返りはしなかった。
「…ごめん…なさっ…」
逃げない、なんて決意したところで私の罪が消えることはない。
私は涙を拭いて、体育館へとまた向かった。
体育館の前には、既にさっちゃんがいた。
「…カスミン。なんか、久しぶりだね…」
「そう、ね…」
私は体育館の入り口前の段差にさっちゃんと腰かけた。