第27章 逃げない
私はあれから征十郎の言付を守り、仲のいい優ちゃんにもさえも洛山を受けることは黙ったまま、先月の入試で見事合格。
春から洛山高校へ通うことが決定した。
そして、今日は帝光中学校で過ごす最後の日。
私たちの卒業式だ。
「華澄…アメリカに行っても元気でねぇぇ…。絶対連絡してよぉ?」
「うん、わかったから…涙拭いてちょうだい…」
もの凄い勢いで泣いてくる優ちゃんに戸惑いつつも、私の目にも涙が浮かんでいた。
…優ちゃん、ずっと私の側にいてくれてありがとう。
それと…アメリカへ行くなんて嘘ついてごめんね…。
涙ながらの別れを惜しんではいるが、この後私は体育館へ行かなければならないため、いつまででもここにいるわけにはいかなかった。
優ちゃんに別れを告げ、私は最後に”高嶺の華”と写真を撮っておきたい、という写真ラッシュに巻き込まれながらも、体育館へと向かっていった。