第27章 逃げない
夕飯を食べ終え、お風呂も済ませた私は修ちゃんに電話する。
時刻は午後十一時。
あちらは午前七時のはずだから、大丈夫。
…多分。
『っんだよ…また朝っぱらから電話かけてきやがって…』
寝起きの不機嫌な声が携帯から聞こえる。
私は少し笑い、「おはよう」と返した。
「あのね…私、高校決めたわ」
『あー…、んで?どこにしたんだよ』
「洛山」
『あーはいはい。洛山ね、はいはい…。…っておい!洛山ってあの洛山か!?』
まだ寝ぼけていた頭で洛山という言葉を理解していき、覚醒したように修ちゃんは声を上げた。
「そう、京都の洛山。…征十郎について行くの」
私がそう言うと、修ちゃんは黙り込み、少ししてから言った。
『自分で考えた結果なんだな?』
「ええ」
『その選択で後悔はしねーか?』
「ええ。逃げるわけには…いかないでしょう?」
『そーか…。お前がそう決めたんなら俺は何も言わねーよ。…応援してんぜ?』
「…ありがとう」
それだけ伝えると、私は修ちゃんとの電話を切った。