第27章 逃げない
んん?
僕に?
付いてこないか?
えーっと、僕に、ってことは征十郎にってことで…えーっと…。
「僕に…って、洛山?!私に京都まで来いって言うの?!」
「ああ」
「ああ、って…」
私は片手だけポケットから出して頭をかいた。
京都でしょう?
そう簡単に、はいって答えられるわけないじゃない。
どこの坊ちゃん思考よ…。
あ、こいつ現に坊ちゃんだった。
「大体、私はもうバスケには…」
「僕の命令は絶対だ」
「!」
有無言わさない、その瞳が私を捉える。
この瞳の前で、私は全く動けなくなる。
「それにお前は”あの時”僕に誓ったはずだ」
「……」
”あの時”というのは、私が階段から落ちた時のことだろう。
私は確かにあの時、余計なことは言わない、考えない、征十郎の言うことに従う。と言った。
―― 『俺のとこに来るってのは、つまり”逃げ”だってことをよく考えたうえで決めんだな』
先日修ちゃんに言われた言葉が頭の中で木霊する。
「どうするんだ」