第27章 逃げない
他の皆もどんどん推薦で決まっていっていた。
今のところ知っているのは征十郎が京都の洛山、大ちゃんが都内の桐皇、黄瀬が神奈川の海常だということ。
さっちゃんはテツ君と同じ所へ行きたいらしいが、テツ君の志望校を私は知らないため、まだわからない。
「お前はマネージャーとしての才能がある。それを捨てるなどということはすべきではないのだよ」
「…私が辞めることを前提に話すのね」
「事実そうではないか。だからここまで悩んでいるのだろう」
あながち間違ってない、わね…。
私は少し自嘲気味に笑った。
「私の行く末は私が決めるの。真ちゃんにとやかく言われる筋合いなんてこれっぽっちもないわ。これ以上何か言うようなら、進学先が決まっても教えてあげないんだから」
それだけ言って、私は真ちゃんの横を通り過ぎた。
「…ふん、『私の行く末は私が決める』か。…できれば、の話だな」
去ってゆく私の背中を見つめながら真ちゃんは、小さく呟いた。