第27章 逃げない
それから一週間。
私は進路指導室へ呼び出されていた。
「藍川ー…、いい加減志望校決めてくれよ…。お前の学力なら大抵のとこはいけるんだろうけど、もう十一月も終わるぞ?」
「すみません…今月中には決めるので…」
「頼むぞー?」
私は進路指導の先生に一度頭を下げて、進路指導室を出た。
…早く決断しなければならないことはわかっている。
時間はいつまでも待ってはくれない。
逃げるのか、それとも立ち向かうのか…。
「よそ見をするな、危ないだろう」
前方から歩いてきた人に気づかず、思わずぶつかりそうになったところを、その人物が私の両肩をつかんだことによって止められる。
「真ちゃん、ごめんなさい」
「それと、いい加減ポケットから手を出すのだよ」
「…それは無理な話だわ」
クラスが同じはずなのに、話すのは久しぶりだわ…。
まあ…クラスというか校内でも話すのはもう優ちゃんくらいなのだけど。