第27章 逃げない
だが、それもバスケ界での話。
バスケ部のない高校ならば、巧いこといけるんじゃないか…と考えているのである。
『それにバスケなんて、サッカー、野球に並ぶぐれーのメジャースポーツだろ?んな都合のいいとこあるわけねーだろ』
「……」
私の甘い考えはあっさり打ち砕かれた。
確かに、バスケ部がなく、さらに都内でない高校を…と探してはいるのだが、なかなか見つからない。
何校か探し出しはしたのだが、偏差値のあまりの低さに進路指導の先生に怒られてしまった。
『そう言ったこと全部考えりゃ、こっちに来るのが無難なんじゃねーの?』
「…それもいいかもしれないわね」
アメリカか…。
バスケの本場でもあるけれど、こちらにいるよりもあちらにいる方がずっと気は楽かもしれない。
生憎、修ちゃんほど英語ができないわけではないし…寧ろ結構話せる方だし…。
『ま、結局決めんのはお前だ。ただ…』
「…?ただ、何?」
修ちゃんは一呼吸おいて続けた。
『俺のとこに来るってのは、つまり”逃げ”だってことをよく考えたうえで決めんだな』
「……」