第27章 逃げない
こんなの八つ当たりだってわかってる。
黄瀬のせいなんかじゃない、全部私のせいだって。
それでも、もう止められなかった。
「…ってぇ…。俺、女の子には優しくするのがモットーなんスけど…、流石にこれは無理ッスね…」
思いっきり私に頬を殴られた黄瀬は、当然怒った顔で私を見下ろし、私の胸倉を掴んだ。
「…おい黄瀬。やめとけ」
片手を上げかけた黄瀬の腕を大ちゃんは掴む。
「…ッチ」
大ちゃんに止められた黄瀬は、舌打ちをして腕を下した。
…いっその事殴られてしまえば、全部お前のせいだと責め立てられれば、どれだけ楽だったか。
私は、黄瀬を一睨みして、その場から離れた。