第26章 色を失ってゆく
そのまま試合は何事もないように進んでいく。
それでも、スコアを書く私は試合終了が近づくにつれて、どんどんと吐き気がしてくる。
体の震えも止まらなくなってしまった。
「…藍川?具合が悪いのか?」
隣に座る監督も、私の様子のおかしさに気づき、声を掛ける。
「…いえ、大丈夫です」
これが私が犯してきた罪の報いなのか。
私はこの試合を見届けなければならない。
私が弱かったばかりに、沢山の過ちを見て見ぬふりをして受け入れてきたばかりに…。
…それ故に生んでしまったバスケを愚弄するこの怪物たちを…。
「おーい、紫原ー」
「あいよー」
残り数秒、大ちゃんを抜いた7番の彼のシュートは外れてしまうも、それをあっくんが自殺点として決めてしまう。