第26章 色を失ってゆく
「…さっき言っていた『荻原君』というのは誰なの?」
「テツヤの友人らしい。昔、全中で戦うことを約束したそうだ」
「そう…」
テツ君、残念に思っているに違いないわよね…。
「あ…赤司っちと藍川っち!黒子っちは!?」
ベンチでは何やらスタメンがコソコソと話し込んでいたが、黄瀬がこちらに気づき、テツ君の容体を尋ねてくる。
「大丈夫だ、別状はない。残念ながらこの試合、出ることはできないが…」
「そうっスか…」
「……」
やはり、流石の皆も表情が暗くなる。
「まーとりあえず優勝してさー、後で皆で報告しに行けばいーんじゃないー?」
「…あー、そーだな」
「そうだね。…ところでさっきは何を話していたんだい?」
試合に出る準備をしながら征十郎は問いかける。
私もスコアブックの用意をしながら無表情に聞いていた。
「あーあれは…誰が言い出したんだっけ?誰が一番点取れるか競うのも飽きてきたからよ」
「でもー、メンドクサイよ、それー」
「だから面白いんじゃないッスか!」
「くだらん。勝手にするのだよ」
口々に皆が言う中、黄瀬がその新しい賭けの内容を説明していく。