第6章 本当に彼でいいの?
…そ、想像以上だわ。
なんて体力がないの。
「カスミン…。あの人本当に一軍でいいの?」
「私に聞かないで」
とりあえず、体力アップのためのメニューでも作っておいた方がよさそうね。練習後にそれをできるかどうかは別として。
はぁ、とため息をついてノートとは別に黒子君…いや、テツ君の体力アップメニューを作っていると、大ちゃんの叫び声が響いた。
「おわー吐くなテツっっ!!おーい、さつきー。バケツとタオルー!!」
「?」
「え?きゃーっっ」
一軍に入りたての人は大抵初日は吐く。仕方のないことなんだけど…、大丈夫?これ。
「よーし、今日はここまで!」
「「「っつかれしたー!」」」
テツ君は三軍だった頃、毎日自主練をしていたらしいが、今日はそんな体力はないらしく、そそくさと帰っていった。
「征十郎」
体育館の隅でダウンをしていた征十郎に声をかけた。
「何だい?」
「これ、一応作ったからテツ君に渡しておいて」
テツ君用のメニューを征十郎に渡すと、彼も一応目を通した。
「よくできているね。だが、これをこなすにはまだ時間がかかると思うよ」
「見てたらわかるわ。だけど、一軍に上がったからには、それなりにやってもらわなきゃ困るんじゃないの?征十郎的にも。甘やかすのは良くないわ」
「そうだね」
私の厳しい意見に、彼は困ったように笑う。