第6章 本当に彼でいいの?
黒子君が一軍に上がってきたのはそれから間もないことだった。
「失礼します。黒子テツヤ君、連れてきました」
体育館の扉が開き、さっちゃんが言った。
その後ろには相変わらず影の薄い、黒子君。
「おう、サンキュ」
「おっ、ついに来たな!テツ!」
「やぁ…、待っていたよ。ようこそ、帝光バスケ部一軍へ。そして肝に銘じろ。今この瞬間からお前の使命はただ一つ、勝つことだ」
どこまでも高みを目指しているであろう彼は満足気に黒子君を迎えた。
「えー?本当に来たのー?」
「うぃ~す」
アホ丸出しの声とともに祥ちゃんが体育館に入ってきた。
「遅刻よ、祥ちゃん」
「へーへー、次からは気を付けますって」
これは絶対反省していないな。
ノートに『遅刻者:灰崎祥吾 外周5周』と書き込んでいると、「あいてっ」と祥ちゃんの声が聞こえた。
「あ、すみません」
「おわぁっっ、誰だテメ!?」
「黒子テツヤです。今日から一軍に来ました。よろしくお願いします」
「あ゛あ゛!?まじかよ!?こんなんが…!?」
「祥ちゃん、それよりあなたは外周5周よ」
「あ゛っ?!」
外周を言い渡された祥ちゃんは、履いたばかりのバッシュを脱いで、監視役のさっちゃんに連れられてグラウンドへ行った。
「よぉし、練習始めるぞ。ストレッチ後フットワークからだ」
修ちゃんの一声で今日も練習が始まった。