第26章 色を失ってゆく
別に、あの程度の使えないスタッフいてもいなくても変わらないんだけど。
「さっちゃん。悪いんだけど征十郎たちにテツ君の様子を伝えてきてもらってもいいかしら?」
「あっうん。わかった」
私が頼むと、さっちゃんは医務室から出て行った。
しかし、誰かに捕まったのか、ドアのすぐそこで声がする。
「(…いいから早く行きなさいよ)」
と、その時、征十郎らしき人物の声も聞こえてきた。
征十郎は誰かはわからない、さっちゃんが捕まったその人物と何かしら話しているようだったが、こちらにまでその会話はハッキリとは聞こえてこない。
「…ぅ…」
「テツ君?」
「…あ、い…川…さ…ん?」
テツ君が目を覚ました。
が、まだ意識がハッキリしていないのか、目が虚ろで、本当に私のことを藍川だと認識しているのかすらわからない状態だ。
「待ってて。今征十郎たちを呼んでくるわ」
私は医務室のドアを開け、征十郎に声を掛けようとしたが、まだ取り込み中らしい。
「ちょっと、まだ取り込み中なの?テツ君が目を覚ましたんだけど」
「ほ、ホント?良かったぁ…」
私がドアの前に立っていたさっちゃんに言うと、さっちゃんは医務室の中へ入っていく。