第26章 色を失ってゆく
同時にコートに立った対戦校の選手を見て、私は遠い記憶を辿りながら、渡されていたメンバー表に目を落とす。
「…!あいつらって確か…」
「去年決勝で手こずった双子じゃないー?」
大ちゃんとあっくんの記憶にも残っていたらしい双子。
…あら、準決勝の相手は鎌田西中学校だったのね。
どこが相手でも関係ないからマネージャーの私ですら確認していなかったわ。
これからは気をつけなくちゃ、征十郎に怒られるわ。
「おおお!」
「うおお、決まったー!なんだ今のは!?」
「それよか厚すぎるだろ層…!『キセキの世代』は温存してフルメンバーじゃないのに」
「それでも帝光リード…!強え!」
何だか今日のテツ君はやる気ね…。
何かあったのかしら…。
頭の隅でそんなことを考えつつも、淡々とスコアを記録していく。
「監督、もういいでしょう?そろそろ征十郎たちも温存しましょう」
「うむ…ああ、そうだな」
『帝光、選手交代です』
私が監督の目も見ずに無表情に告げると、監督はコートに残っていた征十郎、真ちゃん、黄瀬を交代させた。
「ちょっと、二人楽しすぎじゃないっスか!?」
「いーじゃねーか。もう勝ちは決まったんだから」
第四クオーター開始からたった二十秒の時点で点差は44点。
流石は去年の準優勝ね、思っていたより点が取れてるじゃない。
…でも、彼らには遠く及ばないわ。