第26章 色を失ってゆく
私が言ったということもあるが、元々彼らに全力など尽くす気はなかった。
それでも決勝トーナメントも着々と勝ち進んでいった。
そして最終日。
準決勝。
「決勝は明洸ってとこみたいッスね」
「ふーん。まあ、どこでも一緒じゃんー?」
私たちの試合の前にやっていたもう一つの準決勝。
勝ったのは明洸中学校。
あっくんの言う通り、相手がどこでも私たちには関係ない。
勝ったところで何がそんなに嬉しいのか、どうせ決勝で勝つのは私たちなのに。
私はまたもや感情のない表情で明洸の様子を見ていた。
「…え?スタートから出たい?」
試合直前、テツ君は突然言い出した。
それまで、どちらかと言えば試合には出たがっていなかった彼の申し出に、私も少しだけ驚きの表情を浮かべた。
「…はい」
「なんか急にやる気じゃないッスか」
「どうしたのだよ、黒子」
驚いたのは私だけではなく、ベンチの面々全員。
監督は、少し考えて答えた。
「…わかった。どちらにしろいつもの五人は決勝に向けてできるだけ温存するつもりだった。スタート、紫原と青峰はベンチだ」
監督の指示に従い、大ちゃんとあっくんはベンチに残り、名前を呼ばれたメンバーはコートに立つ。
「あら?」