第26章 色を失ってゆく
それでも、これが正しいのならば…。
彼らの側にいるために必要なことなのならば…。
「わかったわ。間違ってたのは私の方ね、ごめんなさい。明日からはスコアとは別に全員の個人得点表でも作るわ」
「物分かりが早くて助かるよ」
征十郎は、フッと笑ってくれた。
そうよ、きっとこれが正しい。
スポーツマンシップとか、そんな感情何も必要ないんだわ。
「一つ…いいかしら?」
「何だ」
私は感情を持たない表情のまま、征十郎に問いかける。
「どうしてそこまで勝利にこだわるの?」
征十郎は、この世は勝利が全て…正しいのは勝者だという。
彼がそう言うのなら、正しいのだろう。
でも…私にはまだわからない。
本当に勝利が全てなの?
勝利にこだわる必要があるの…?
「言っただろう、この世は勝利がすべてだ。勝者は肯定され、敗者は否定される。僕が正しくあるには、勝ち続けなければならない。僕にとって勝利とは、生きていくうえであって当然のもの…基礎代謝と変わらない」
そう言った征十郎の目は、冷たかった。
私はただ、「そう…」としか答えられなかった。
そして、帝光は去年をはるかに超える大差で全中出場を決めた。